フルマラソンは何キロ?42.195kmの謎と完走トレーニング
フル マラソン 何 キロかという疑問。ランニングシューズを買いに行った帰り道、あるいはテレビ中継を眺めているふとした瞬間に、頭をよぎる素朴な問いだ。答えは「42.195km」。きりの悪いこの数値に、思わず首をかしげた経験はないだろうか。40kmでも45kmでもなく、小数点以下まで細かく定められた距離の背後には、歴史の偶然と人間のドラマが渦巻いている。
毎週末のように全国で市民レースが開催される昨今、検索窓に「フル マラソン 何 キロ」と打ち込んで走行距離のハードルを確認する初心者は後を絶たない。人間が自らの足だけで走り抜く長距離走として、42.195kmはあまりにも絶妙で、狂気すら孕んだ挑戦の領域と言えるだろう。
なぜ42.195km?イギリス王室の一言が生んだ中途半端な距離の真実
そもそも、なぜこれほど中途半端な数値がワールドスタンダードになったのか。時計の針を1908年ロンドンオリンピックまで巻き戻そう。
第一回アテネ大会でのマラソン競技は、古代ギリシャの兵士の伝説にちなみ約40kmで行われた。当時は開催国ごとに距離がバラバラで、決まった規格など存在しなかったのだ。転機となったのがロンドン大会である。当初、スタート地点は温室のあるウィンザー城の庭園、ゴールはホワイトシティ・スタジアムのトラックに設定されていた。
しかし、イギリス王室から「王立育児院の子供たちがスタートを見られるように部屋の前からにしてほしい」「アレクサンドラ妃がVIPボックス前でゴールを見届けられるように変更してほしい」というリクエストが入る。その結果、引き直された距離が正確に26マイル385ヤード、すなわち42.195kmだった。この気まぐれとも言える調整が、後に公式基準として定着したのだから歴史は面白い。
近代マラソン史を彩る伝説:アベベからキプチョゲまでの進化論
42.195kmという果てしない道のりは、数々の英雄たちによって彩られてきた。陸上競技の歴史において、最も衝撃的な瞬間の一つとして語り継がれるのが、1960年のローマ大会で裸足のまま石畳を駆け抜け、金メダルを勝ち取ったエチオピアのアベベ・ビキラだ。「アフリカの誇り」を示した彼の走りは、長距離走の概念を根底から覆した。
時代は進み、人類は「2時間の壁」という未踏の領域に挑むことになる。その頂点に立ったのがケニアのエリウド・キプチョゲである。彼は完璧に管理された条件下での非公式レースにて、史上初めて2時間を切る「1時間59分40秒」を叩き出し、スポーツ界の常識を打ち破った。人間の可能性はどこまで拡張するのか。42.195kmは、極限に挑むアスリートたちの生きた実験場であり続けている。
東京マラソンから世界へ:映像コンテンツで熱狂する陸上競技の新時代
かつてはストイックなアスリートのための競技だったマラソンは、いまやグローバルなエンターテインメントへと変貌を遂げた。日本最大級の市民参加型レースである東京マラソンでは、数万人のランナーが首都の都市景観を駆け抜け、国内外から熱狂的な視線を集める。
メディアのあり方も劇的に変化した。正月の定番である実況生中継やNHK総合によるドキュメンタリー番組だけでなく、近年ではNetflixなどのストリーミングプラットフォームが配信するトップアスリートの密着スポーツドキュメンタリーが世界的なヒットを記録している。画面越しにランナーの血と汗と葛藤を体感した視聴者が、自らシューズを履いて街へと走り出す――そんなムーブメントが世界中で巻き起こっている。
世界陸上競技連盟とIOCが定義する長距離走の最新ルールと記録
コースの厳密な計測、厚底シューズの規制、そして気象条件の標準化。現代のマラソンは、科学とルールの精密な融合の上に成り立っている。
世界陸上競技連盟(WA)および国際オリンピック委員会(IOC)は、公認記録として認められるための厳格なガイドラインを設けている。例えば、コース計測には自転車の車輪回転数を利用したジョーンズ・カウンターが用いられ、1000分の1の誤差も許されない。シューズのソール厚制限についても議論が重ねられており、ギアの進化と人間の生の肉体美とのバランスをいかに保つかが常に問い直されているのだ。
初心者でも完走できる!科学的根拠に基づいた効率的トレーニング法
「42.195kmなんて到底走れない」と気後れする必要はない。正しいアプローチさえ知れば、特別な才能がなくても完走のゴールテープを切ることは十分に可能だ。
トレーニングの基本は「走量」ではなく「習慣」の構築にある。いきなり長距離を走ろうとせず、まずは会話ができる程度の「LSD(Long Slow Distance=ゆっくり長く走る)」トレーニングを取り入れよう。週3回、30分程度のジョギングから始め、徐々に時間を伸ばしていく。心肺機能だけでなく、毛細血管の発達や脂質代謝の向上を促すことが、レース後半のスタミナ切れを防ぐカギとなる。
また、走行中のエネルギー補給計画も勝敗を分ける。30km付近で訪れる強烈な疲労感を突破するには、レース前から計画的に炭水化物を蓄えるカーボローディングと、レース中のジェル補給が不可欠だ。メンタル面でも「42km」という全体像ではなく「次の5km」だけに意識を向ける細分化テクニックが大きな力になるだろう。 (出典: フル マラソン 何 キロ(Yahoo!ニュース))